コレクション: 釈尊の入滅を偲ぶ〈涅槃会〉特集

涅槃はサンスクリット語で言うニルヴァーナの音写であり、悟りの境地で迎えられた釈迦の死(入滅)を意味しています。当時のインドでは「輪廻転生」の考え方が浸透され、人々は死んだ後も生まれ変わり苦を受け続けるとされていました。しかし、悟りを開いた釈迦は輪廻というサイクルから抜け出し、死んだ後は苦から解放され、真の安らぎにたどり着いたとされています。この全ての煩悩が消え去った状態は、「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」と呼びます。

また、釈迦が入滅された2月15日に行われる涅槃会の法要(旧暦に準拠して3月頃に開催する寺院もあります)には二つの意味があります。釈迦を偲ぶ「追悼」と、釈迦の教えに感謝する「報恩」です。この時期に寺院を訪れる機会がありましたら、釈迦のご遺徳を追慕し、より多くの人が心穏やかに過ごせるように、世界平和を祈ってみてはいかがでしょうか。

<涅槃会>特集 書籍紹介

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構築された仏教思想 ゴータマ・ブッダ 縁起という「苦の生滅システム」の源泉』並川孝儀・著 ¥1,540(税込)

ISBN:978-4333024674
出版社:佼成出版社
発売日:2010/10/30

担当編集コメント:

 すべての仏教の始まりに位置する、ゴータマ・ブッダ。彼は王家の身分を捨て出家し、修行ののち悟りの境地へ到達。80歳でその生涯を終えました。仏弟子達によって形成された教団は教えを説き続けましたが、それでも開祖のブッダは唯一ともいうべき存在です。ですが、その偉大な人物「ブッダ」は本当に「ゴータマ・ブッダ」をさしているのでしょうか?

 著者はそんな“問題意識”を根底に、初期の仏教教団における「ブッダ」の語が指し示す対象や、一般に理解されている「ゴータマ・ブッダは縁起を説いた」という中の「縁起」の定義を、経典の精読によって再考しました。

 

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智慧は人生の羅針盤:人がめざすべき幸福の話』アルボムッレ・スマナサーラ・著 ¥1,628(税込)

ISBN:978-4904507438
出版社:サンガ新社
発売日:2023/06/15

ちえうみ担当コメント:

 イギリス領セイロン(現スリランカ)生まれのアルボムッレ・スマナサーラ氏は、本書を通して私たちに「やすらぎ」を手にする理由を問いかけています。言い換えると、私たちの「生きる目的」とは何かを気づかせようとしています。ちなみに、ここで言うのはいわゆる“俗世間”の「生きる目的」ではなく、仏教がめざす「生きる目的」です。ブッダは衆生を救済するために、インド各地で教え(ダルマ)を広めてきましたが、「涅槃」という言葉を使っていません。その代わり、様々な説法や指導を通して、煩悩を断ち切る仏教の智慧を語っていました。この一冊はブッダの言葉を伝えるとともに、現代人の私たちに真の幸福を得るために必要なブッダの智慧と方法をご紹介します。

 

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『涅槃経入門』横超慧日・著/下田正弘・解説 ¥1,320(税込)

ISBN:978-4831826794
出版社:法藏館
発売日:2024/10/11

ちえうみ担当コメント:

 本書では四十巻に及ぶ経典『涅槃経』(ここの涅槃経は、大乗経典の大般涅槃経のことを指す)の成立の解説に始まり、「一切衆生悉有仏性」の教説を展開した上で、原典から重要用語を抜粋し、涅槃経がいかに出家者に自らの仏性を気づかせ、修行の拠り所となったのかを委細に論じています。

 本書の誕生は太平洋戦争まで遡ることができます。老舗出版社である日本評論社は幸田露伴、武者小路実篤、鈴木大拙をはじめとした錚々たる執筆陣を集め、「東洋思想叢書」編纂の一大事業を起こしました。その中の一冊が横超慧日の『涅槃経』でしたが、『涅槃経』は1981年に再び刊行され(『涅槃経 如来常住と悉有仏性』に改題、平楽寺書店)、さらに2024年に法蔵館文庫によって『涅槃経入門』として文庫化されました。80有余年の歳月が過ぎたにもかかわらず、横超氏の涅槃経に対する解釈は今の仏教界でも大きな影響力を持っていることが窺えます。

 

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大念処経:ヴィパッサナー瞑想の全貌を解き明かす最重要経典を読む』アルボムッレ・スマナサーラ・著 ¥4,950(税込)

ISBN:978-4910770956
出版社:サンガ新社
発売日:2025/03/24

ちえうみ担当コメント:

 初期仏教において、『大念処経』はヴィパッサナー瞑想における「四念処」(身・受・心・法)の実践を最も詳細に解説した、非常に重要で根本的な経典といわれています。上座部仏教はこのようなヴィパッサナー瞑想の基礎を重視し、お釈迦さまもこの瞑想の実践を通して穏やかな気持ちになり、涅槃の境地に至ったようです。本書はパーリ語経典の重要用語をかみ砕いて、理路整然と仏教修行者が辿る道のりをまとめています。難しい一冊ではありますが、読み進めるにつれて“気づき”への視野が広がる気がします。


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今回の特集では涅槃会をめぐって、ちえうみ編集がとっておきの4冊をピックアップしました。釈尊入滅の日に行われる涅槃会は、釈尊を追悼するとともに、その教えに感謝する行事(報恩)です。心に一点の曇りもない涅槃の境地は、仏教の究極的な目的と言えますが、その境地に至るまでの道のりは長いものでしょう。涅槃や涅槃経に関する入門書や学術書を手に取って、この不思議で奥深い世界を覗いてみませんか?