馮道―乱世の宰相―
馮道―乱世の宰相―
五代十国時代、五王朝、十一人の皇帝に仕え、二十年余りも宰相をつとめた馮道。破廉恥・無節操と非難されたが、それは「事はまさに実を務むべし」「国に忠たり」を体現した生き方だった。その生の軌跡を鮮やかに描きあげる。
【目次】
はじめに
一 唐朝の崩壊
馮道の誕生 安禄山の遺産 白楽天の塩商婦
茶の闇市 黄巣の反乱
二 盧龍軍の劉守光
吟治圃の詩 盧龍軍の伝統 劉仁恭と劉守光
馮道、幽州参軍になる 馮道、獄につながる
三 宦官の張承業
朱全忠と李克用 河東監軍の張承業
馮道、張承業を頼る 胡柳の役
四 父の死
李存勗の即位 翰林学士馮道 李嗣昭の財力
鄴都の変
五 宰 相
物と競うなし 兎園冊 例と時
聶夷中の社会詩 安重誨の専権
六 後唐末帝への勧進
明宗の死 事はまさに実を務むべし
六ヵ月の失業
七 石敬瑭
燕雲十六州 契丹への出使 枢密院の廃止
八 耶律徳光
承平の良相 ゲリラ戦 クーデタ
九 長楽老自叙
隠居職 自叙伝 国に忠 ユーモア
十 柴栄の登場と馮道の死
郭威の挙兵 後周の成立 柴栄の北漢親征
おわりに
馮道関係年表
中公文庫版のあとがき
補 編
『蔵書』──個性にみちた史論
馮道の写真
馮 道
邦に道なきとき
『世説新語』の周辺
黄巣と馮道
法蔵館文庫のためのあとがき
索 引
礪波護・著
1937年,東大阪市生まれ。八尾高校をへて,60年,京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。同大学大学院博士課程を了え,京都大学人文科学研究所助手,神戸大学文学部助教授,京都大学人文科学研究所教授,同大学大学院文学研究科教授を歴任し,2001年,停年退官。京都大学名誉教授。その後,大谷大学文学部教授,同大学博物館長を勤める。文学博士。専門は中国の政治・社会・宗教史。著書に『唐代政治社会史研究』(同朋舎出版),『地域からの世界史② 中国 上』(朝日新聞社),『世界の歴史6 隋唐帝国と古代朝鮮』(共著,中央公論社。のち中公文庫),『馮道――乱世の宰相』『唐の行政機構と官僚』『隋唐の仏教と国家』『唐宋の変革と官僚制』(いずれも中公文庫),『京洛の学風』(中央公論新社),『隋唐佛敎文物史論考』『隋唐都城財政史論考』『敦煌から奈良・京都へ』『鏡鑑としての中国の歴史』(いずれも法藏館),『文物に現れた北朝隋唐の仏教』(法蔵館文庫)のほかに編集・監修・解説多数がある。
ISBN:978-4831826671
出版社:法藏館
発売日:2024/6/7