死者の結婚 ―慰霊のフォークロア―
死者の結婚 ―慰霊のフォークロア―
「結婚」とは何か。山形県のムカサリ絵馬供養、青森県の花嫁人形奉納、沖縄のグソー・ヌ・ニービチ、韓国や中国・台湾の死霊婚など、死者に対する結婚儀礼の種々の類型を事例に、その社会構造や文化動態の観点から考察する。
【目次】
文庫版へのまえがき
はしがき
第一章 未婚の死者に捧げる絵馬
一 祖先崇拝とは何か
二 ムカサリ絵馬習俗
三 生者のライフコースと死者のライフコース
四 ムカサリ絵馬習俗の歴史文化的背景
第二章 祖先崇拝と社会構造
一 黒澤の社会構造
二 ムカサリ絵馬習俗と家族関係
三 祖先崇拝と家の構造連関
第三章 花嫁人形と死者への思い
一 花嫁人形習俗
二 奉納者調査
三 津軽の巫俗と死者の祀り
第四章 沖縄の冥婚習俗と祖先崇拝
一 沖縄と東南アジアを比較する
二 グソー・ヌ・ニービチ
三 沖縄の宗教と儀礼
四 巫俗とジェンダー
第五章 冥婚の比較文化・社会構造
一 東アジアの冥婚
二 死霊婚の比較類型論
三 結婚の一形態としての冥婚
注
初出一覧
あとがき
補論 人口減少社会の希望としての結婚
一 長寿社会
二 少子化対策をめぐる議論
三 結婚について考えるために
事項・人名索引
櫻井義秀・著
1961年,山形県出身。北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。現在,北海道大学大学院文学研究科教授。専門は宗教社会学,タイ地域研究,東アジア宗教文化論。著書に『霊と金――スピリチュアル・ビジネスの構造』(新潮社,2009年),『統一教会――日本宣教の戦略と韓日祝福』(共著,北海道大学出版会,2010年,2022年増補第四版),『カルトからの回復――心のレジリアンス』(編著,北海道大学出版会,2015年),『人口減少社会と寺院――ソーシャル・キャピタルの視座から』(共編,法藏館,2016年),『しあわせの宗教学――ウェルビーイング研究の視座から』(編著,法藏館,2018年),『東アジア宗教のかたち――比較宗教社会学への招待』(法藏館,2022年),『統一教会――性・カネ・恨から実像に迫る』(中公新書,2023年),『創価学会――政治宗教の成功と隘路』(共編,法藏館,2023年),『信仰か、マインド・コントロールか――カルト論の構図』(法蔵館文庫,2023年)などがある。
ISBN:978-4831826756
出版社:法藏館
発売日:2024/9/13