現代語訳 南海寄帰内法伝 ―七世紀インド仏教僧伽の日常生活―
現代語訳 南海寄帰内法伝 ―七世紀インド仏教僧伽の日常生活―
7世紀のインドの僧侶は何を食べ、どんな日常を送っていたのか。インドに留学した唐の僧・義浄が、当時の中国と比較しながら書き留めた戒律の第一級資料。原著は鈴木学術財団特別賞受賞した名著。
【目次】
義浄三蔵入竺求法行歴図
写真 ナーランダー僧院遺跡
凡例
巻第一
序章 [仏教通史――宇宙開闢から唐代まで]
第一章 破夏非小[夏安居――雨期三ヶ月の合宿――を破っても僧伽内の地位の降下はない]
第二章 対尊の儀[尊像・尊者・に対するきまり]
第三章 食座小床[食事は小さな椅子に腰掛けてとる]
第四章 餐分浄触[食事には浄・不浄区別の原則がある]
第五章 食罷去穢[食後に穢(けが)れを去(と)る]
第六章 水有二瓶[浄と不浄の二種類の水がある]
第七章 晨旦観虫[朝、水中の虫を観察する]
第八章 朝嚼歯木[朝には歯磨きをする]
第九章 受斎軌則[お斎(とき)のきまり]
巻第二
第十章 衣食所須[衣服のきまり]
第十一章 著衣法式[衣の著方のきまり]
第十二章 尼衣喪制[苾芻(びっしゅ)の衣と葬送の法]
第十三章 結浄地法[浄地の結界方法]
第十四章 五衆安居[夏安居の実際]
第十五章 随意成規[随意=自恣――夏安居反省大会――の実際]
第十六章 匙筯合不[匙と箸]
第十七章 知時而礼[礼敬の方法]
第十八章 便利之事[トイレのきまり]
巻第三
第十九章 受戒軌則[受戒式の実際]
第二十章 洗浴随時[洗浴の方法]
第二十一章 座具襯身[座(臥)具は夢精除けシーツ]
第二十二章 臥息方法[寝具と尊像安置のきまり]
第二十三章 経行少病[腹ごなし慢ろ歩き健康法]
第二十四章 礼不相扶[挨拶の仕方]
第二十五章 師資之道[師弟の有り方]
第二十六章 客旧相遇[来訪苾芻(びっしゅ)への接待方法]
第二十七章 先体病原[インド医学総論――疾病構造論――]
第二十八章 進薬方法[印・中の比較医学論]
第二十九章 除其弊薬[中国の悪薬への批判]
第三十章 旋右観時[右繞・左繞論と時・非時論]
巻第四
第三十一章 灌沐尊儀[尊像の沐浴と香花の供養]
第三十二章 讃詠之礼[讃歎・詠唱の礼法]
第三十三章 尊敬乖式[中国の尊敬礼法への批判]
第三十四章 西方学法[梵語文法学の簡単な紹介]
第三十五章 長髪有無[根機=機根別の人生コース]
第三十六章 亡財僧現[遺産相続の種々相]
第三十七章 受用僧物[衣料は僧伽が支給する]
第三十八章 焼身不合[焼身供養の否定]
第三十九章 傍人獲罪[焼身供養の勧誘・幇助への批判]
第四十章 古徳不為[善遇・慧智の二恩師への讃歎]
解題に代えて――A君に――
翻経三蔵義浄法師年譜
あとがき
文庫版寄帰伝によせて(加藤栄司)
索引
義浄・撰/宮林昭彦・訳/加藤栄司・訳
宮林昭彦(みやばやし しょうげん)
1932年、長野県生まれ。1955年、大正大学大学院文学研究科仏教学専攻修士課程修了。1978年、大正大学教授。1985~6年、大正大学より海外研修を命じられる。南方上座部仏教の戒律実態調査のため、タイ国バンコク市トンブリのワット・パクナム・パーシーチャロアンにて出家・得度、短期間の僧伽出家生活を実修。1997年、大正大学人間学部長を経て、2001年、大本山光明寺第百十二世法主就任。2014年、遷化。 主な編著書に『法然上人と浄土宗』(大道社)『授菩薩戒儀浄土宗聖典』(浄土宗宗務庁)『授戒仏心を育てる』(青史出版)ほか。
加藤栄司(かとう えいじ)
1948年、千葉県生まれ。1982年、大正大学大学院文学研究科宗教学専攻博士課程満期退学。1985年、前記タイ国バンコク市トンブリにての海外研修に同行。公益財団法人中村元東方研究所専任研究員。現在、天台宗・圓宗寺住職(栃木県下都賀郡壬生町大字上稲葉)。訳書に『仏菩薩聖徳大観上集』(華宇出版社・台北)、編著書に『仏典を知る最澄の世界』(佼成出版社)ほか、中国仏教、とくに義浄を中心とする唐代の 戒律思想に関する論稿多数。
ISBN:978-4831826435
出版社:法藏館
発売日:2022/11/10