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ちえうみ

「うき世」の思想 日本人の人生観

「うき世」の思想 日本人の人生観

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「うき世」という言葉が日本人の意識に深く浸透した過程をたどり、その背景にある仏教思想の土着化を考察する。先行研究を整理したうえで、「うき世」の歴史的変遷を追究し、文学や思想など複数の文化領域における意味作用を検討する。さらに、この言葉が日本人の世界観をどのように形づくってきたのかを明らかにし、その哲学的意義にも迫る。

解説=畑中章宏

【目次】

序論
小説『嵐が丘』の特異さ/墓からの発想/思想と習俗/哲学的世界観

1 「うき世」研究について
「うき世」という言葉/潁原退蔵氏の解釈/唐木順三氏の解釈/高尾一彦氏の解釈

2 「うき世」の歴史(古代~中世)
1 「うき世」意識の萌芽 
「万葉」の来世観/三つのパターン/「うき世」の初出をめぐって/雅語・掛詞としての「うき世」
2 仏教の影響 
個人霊魂の独立/「つねなき世」を生きる/西行における「うき世」/厭世から浄土願望へ/「新古今」のうき世観/死は穢れたものという観念/「夢の世」意識の成立/「夢の世」への処生観/「人間はすべて平等」の確認/無常史観の成立
3 無常観の民衆化 
長明と兼好/『平家物語』と『徒然草』の無常観の違い/神仏習合の歴史/本地垂迹という考え方/人を神に祀る風習/葬式仏教の歴史/「曹洞土民」の意義

3 「うき世」の歴史(近世~現代)
1 近世庶民の生活意識 
表裏一枚の「憂世」と「浮世」/小歌にみる「うき世」観/「恨の介」の世界/「沈み入らぬ心だて」の精神/西鶴の浮世主義/西鶴の「浮世」と近松の「憂世」/石門心学の「浮世」/風呂と「浮世」意識

2 近代知識人にみる「うき世」
福沢諭吉の宗教的人生観/現世肯定の論理/漱石の場合/ニヒリズムの微笑/宮沢賢治の宇宙的生命観/稲垣足穂の現実離脱願望/一遍につながる精神
3 流行歌のなかの「うき世」 
庶民の心を映して/生きつづける「憂世」と「浮世」/まとめ

4 「うき世」の思想
1 文化の型/2「死から生へ」の文化/3 墓と火葬/4 祖先崇拝について/5 日本の祭り/6「めまい」の遊び/7 勤労意識の「使い分け」/8「にじみ」の美学/9
「合一欲」としての愛/10 集団と旅

5 「うき世」の哲学
「夢の世」をめぐって/「うき世」観の論理/宇宙史観として/「うき世」観と科学

あとがき

解説 半世紀後の「憂世」に読みなおす  畑中章宏

 

橋本峰雄・著/畑中章宏・解説

橋本峰雄(はしもと みねお)
1924年、徳島県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。元神戸大学文学部教授。法然院第30代貫主。専門は哲学・思想・宗教。思想の科学研究会や現代風俗研究会の会員としても活動した。1984年、逝去。
著書に『丸いメガネを返せ――おりにふれての哲学』(朝日新聞社、1973年)、『性の神』(淡交社、1975年)、『くらしのなかの仏教』(人文書院、1979年。のち中公文庫、1998年)、『論争のための文章術』(潮出版社、1980年)、『宗教以前』(高取正男と共著、NHKブックス、1968年。のちちくま学芸文庫、2010年)、『哲学のすすめ』(梅原猛・藤沢令夫共編、筑摩書房、1969年)、『暮らしを考える』(多田道太郎共編、ぎょうせい、1977年)などがある。

畑中章宏(はたなか あきひろ)
1962年、大阪市生まれ。民俗学者。著書に『柳田国男と今和次郎』(平凡社新書)、『蚕』(亜紀書房)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』(春秋社)、『廃仏毀釈』(ちくま新書)、『宮本常一』(講談社現代新書)、『傍流の巨人 渋沢敬三』(現代書館)、『新・大阪学』(SB新書)、共著に『『忘れられた日本人』をひらく』(黒鳥社)ほかがある。


ISBN:9784831827319
出版社:法藏館
発売日:2026/07/15

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