ちえうみ
怪異と身体の民俗学 異界から出産と子育てを問い直す
怪異と身体の民俗学 異界から出産と子育てを問い直す
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なぜ人は妊婦の妖怪「産女」を生み出し、恐れたのか。胎盤などの胞衣やへその緒、また乳歯は、なぜ特別に扱われたのか――。出産や子育てをめぐる習俗や怪異譚には、人びとの身体観・生命観・異界観が刻み込まれている。怪異・妖怪を手がかりに、日本人が身体と生死をどのように捉えてきたのかを解き明かす。
《目次》
はじめに──コスモロジーとしての身体、表象としての妖怪
第一章 胎児分離埋葬の習俗と出産をめぐる怪異のフォークロア──その生成と消滅に関する考察
プロローグ 福島県会津の「胎児分離埋葬事件」/産科医と僧侶の関与/「子育て幽霊」と「産女」伝承との関係/出産をめぐる怪異のフォークロアの消滅/エピローグ 「水子」をめぐる新しい習俗の登場/他
第二章 産女から水子へ──出産に関する怪異の変容とジェンダー
妊婦埋葬習俗が事件になる時/事件をめぐる村の女性の語り/当時の出産環境/産女出現の背景/水子のさわり/他
第三章 胞衣の近代──「奈良県風俗誌」にみる出産習俗の変容
「奈良県風俗誌」にみる胞衣納めの習俗/清潔法施行規則の制定/胞衣に関する習俗の変容/胞衣を捨てる場所/他
第四章 抜けた乳歯の行方──身体観の変容にせまる
小さな容器の正体/乳歯の特徴と習俗/臍の緒と胞衣、乳歯の「置かれ場所」/異界なき後の胞衣と乳歯の行方/他
第五章 おんぶと抱っこの変容──身体技法に関する人類学的研究にむけて
おんぶの消滅?/おんぶと抱っこの違い/進化した育児補助具と母子関係/大人のおんぶ/ケとハレのおんぶ/他
第六章 分娩台の登場──身体と道具の関係史
日本初の分娩台?/分娩台以前の道具/産みやすくする道具/脚置き台の前身は、縛るロープ?/産みやすい姿勢とは?/他
第七章 妖怪・怪異に狙われやすい日本人の身体部位
新型インフルエンザの蔓延/目は潰され、耳は怪異を感じる/悪霊は、閉じた身体部位からも侵入する/日常を生き抜く身体、怪異を感じる身体/他
第八章 狙われた背中──妖怪・怪異譚からみた日本人の身体観
身体論と妖怪・怪異譚/背中に生じる怪異/背中に現れた生まれ変わりの文字/背中を介した異界との交流/他
第九章 現代の妖怪と名づけ──「かわいい」妖怪たちと暴力をめぐって
妖怪を作ってみる/妖怪「うざい」と悪役「ウザイナー」にみる名づけの暴力/妖怪の背後にある暴力性/他
あとがき──怪異と身体の人類学にむけて
初出一覧
文庫版あとがき
安井眞奈美・著
安井眞奈美(やすい まなみ)
1967年京都市生まれ。1990年大阪大学文学部日本学科卒、1997年大阪大学大学院文学研究科日本学専攻博士後期課程修了。文学博士。現在、国際日本文化研究センター教授。専門は民俗学、文化人類学。日本とパラオ共和国をフィールドに、出産環境の変容を明らかにする研究を進めてきた。現在は、身体と怪異に関する研究を継続中である。
主な著作に、『出産環境の民俗学──〈第三次お産革命〉にむけて』(昭和堂、2013年)、『狙われた身体──病いと妖怪とジェンダー』(平凡社、2022年)。編著に、『産む・育てる・伝える──昔のお産・異文化のお産に学ぶ』『出産・育児の近代──「奈良県風俗誌」を読む』『出産の民俗学・文化人類学』『グローバル時代を生きる妖怪』。共編著に、『身体の大衆文化── 描く・着る・歌う』『想像する身体(上)──身体イメージの変容』『想像する身体(下)──身体の未来へ』など。
ISBN:9784831827371
出版社:法藏館
発売日:2026/09/15