宗教と終末医療
宗教と終末医療
生死の問題は、医療だけの専門分野ではありません。死にゆく人を孤独にしない看取りのために、今、宗教は何をすべきであり、また何ができるのでしょうか。緩和ケア医を始め仏教セラピスト、看護師、医師でもある僧侶が、各々の活動現場から終末医療における宗教の役割を論じます。
林茂一郎・著/井上ウィマラ・著/藤腹明子・著/田中雅博・著
林茂一朗(はやしもいちろう)
1947年、東京都生まれ。
東京医科大学卒業。東海大学病院を経て立正佼成会附属佼成病院に勤務。
産婦人科医として、多くの生命の誕生と死を見つめてきた。
2004年からは、同院緩和ケア科部長を務め、現在は佼成病院院長、ビハーラ担当医
井上ウィマラ(いのうえうぃまら)
1959年、山梨県生まれ。仏教セラピスト。
京都大学文学部哲学科宗教哲学専攻中退。
曹洞宗で出家得度。
その後ビルマにて再出家してウィパッサナー瞑想と経典研究の修行を積み、カナダ、イギリス、アメリカで瞑想指導。
還俗して帰国し、教育、福祉、医療などの現場に瞑想の本質を手渡してゆく道を開拓している。
現在は高野山大学スピリチュアルケア学科准教授。
著書に『人生で大切な五つの仕事:スピリチュアルケアと仏教の未来』(春秋社)、『呼吸による気づきの教え』(佼成出版社)、『心を開く瞑想レッスン』(大法輪閣)、『呼吸による気づきの教え パーリ原点「アーナーパーナサティ・スッタ」詳解』(佼成出版社)、『瞑想脳を拓く 脳生理学があかすブッダのサイエンス』(佼成出版社)など。
藤腹明子(ふじはらあきこ)
1947年、滋賀県生まれ。
国立京都病院附属高等看護学院および佛教大学文学部佛教学科を卒業。
飯田女子短期大学看護学科教授を経て、現在、仏教看護・ビハーラ学会会長。
日本死の臨床研究会世話人、日本ホスピス・在宅ケア研究会理事を務める。
著書に『仏教看護論』『仏教と看護』(共に三輪書店)、『看取りの心得と作法17か条』『死を迎える日のための心得と作法17か条』(共に青海社)など多数。
田中雅博(たなかまさひろ)1946年、栃木県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。
国立がんセンター内分泌治療研究室長を務める。
国立がんセンターを退職し、大正大学仏教学部三年に編入、7年後に同大学院博士過程満期退学。
同年、西明寺境内に普門院診療所を建設。
現在、西明寺住職、医療法人普門院診療所医師、大正大学非常勤講師。
4度、ローマ教皇庁医療司牧国際会議に招待されて仏教の立場から医療のあり方について講演。
『「生と死」の21世紀宣言』(青海社)、『宗教と現代がわかる本2008』(平凡社)等に論文を寄稿。
【目次】
はじめに
第一章 緩和ケア・ビハーラ病棟の五年間 林茂一郎
臨床としての緩和ケア
日本における緩和ケアの今
緩和ケアを始めるために
「自分らしく」生きる空間づくり
人生のステージに見る「緩和期」
「緩和期」のケア
食べることは、生きること
患者さんの身になって
「その時」の迎え方
患者さんと家族との橋渡し
ビハーラに吹く風
第二章 終末医療における「スピリチュアルケア」の可能性 井上ウィマラ
ホスピスケアの原理と仏教
寄り添う心──キリスト教と仏教
「見守り環境」としてのスピリチュアリティ
第三章 一人ひとりの「死への内省」から始まる終末医療 藤腹明子
「生かされて」生きるいのち
「生きる意味」に向き合う
終末医療における主役は患者自身
死への準備教育
【看取りの心得と作法17カ条】
【死を迎える日のための心得と作法17カ条】
第四章 日本の緩和ケア・スピリチュアルケアにおける宗教者のかかわり 田中雅博
科学としての医学
科学を補佐する人文学
医療における宗教の可能性と限界
緩和ケアと安楽死
仏教における「死」のスピリチュアルケア
第五章 パネルディスカッション
著者プロフィール
奥付
「アーユスの森新書」の刊行にあたって
ISBN:9784333024131
出版社:佼成出版社
発売日:2013/10/28