新釈法華三部経 4
新釈法華三部経 4
収録内容……『法華経』「薬草諭品第五」「授記品第六」「化城諭品第七」。立正佼成会の開祖である庭野日敬(にわの・にっきょう/1906-1999)は、生きることに苦悩する多くの人びとを励まし、釈尊の教えにもとづく信仰の喜びを説きました。やがてキリスト教、イスラームをはじめとする宗教界の指導者と手をとりあい、“諸宗教間の対話と協力”にもとづく平和運動の推進を掲げて「世界宗教者平和会議」を実現へと導きました。その生涯は、大乗仏教の到達点である『法華経(妙法蓮華経)』の真理を、人びとの目に見えるかたちで、現代社会に向けて展開・実践する歩みでありました。本叢書では「法華三部経」の教えが、だれにでも分かるよう平易に解き明かされています。漢文・読み下し・現代語訳・解説を併記し、『法華経』全般にわたり経文の意味を把握しやすくなっているのが特徴です。また語句解説には、著者自身の体験にもとづく豊富な話題が添えられています。
※「法華三部経」とは、『法華経』とその序章に当たる『無量義経』、終章に当たる『仏説観普賢菩薩行法経』の三経をいいます。仏さまの慈悲はすべての人に平等に降り注ぎ、その慈悲を受けて、人はそれぞれ自分ならではの持ち味を発揮しながら仏の境地に近づいていきます。そのことを薬草諭品では「三草二木の譬(たと)え」をもって説き明かします。授記品では、信解品で登場した四人の弟子に対して「あなたたちも修行を続けていけば必ず仏になれる」とお釈迦さまが授記(成仏の保証)を与えてくださいます。「たとえ道は険(けわ)しくとも、みな一緒に宝処(幸福をもたらす成仏の境地)を目ざそう」と説くのが化城諭品。困難を乗り越えていくさまが「化城宝処(けじょうほうしょ)の譬え」で巧みに示されます。
庭野日敬
1906年、新潟県に生まれる。立正佼成会開祖。長年にわたり宗教協力を提唱し、新日本宗教団体連合会理事長、世界宗教者平和会議国際委員会会長などを務める。著書に『新釈法華三部経』(全10巻)『法華経の新しい解釈』『瀉瓶無遺』『人生、心がけ』『この道』など多数。1999年、入寂。
【目次】
例言
妙法蓮華経
薬草諭品第五
はつらつたる法座/神秘へのあこがれと探求/師弟の心の交流/打てばひびく反応/功徳/三草二木の譬/信仰の根・茎・枝・葉/人間の価値を決定するもの/仏の四弘誓願/なぜ未来がわかるのか/五眼/肉眼/天眼/慧眼/法眼/仏眼/知道・開道・説道/現世利益の原理/功徳のあらわれはさまざま/自分の存在価値を知れ/教条主義と〈法王〉/縁/仏法の三つの特質/如来と衆生の相違/万物と仲よしになる/なぜ仏をたたえられるのか/甘露の浄法/貪著・限礙なし/背くものにも説く/禅に住する/拈華微笑/空をどう受けとるべきか/三草二木の譬の要点/薬草諭品の教えの体現者
授記品第六
法華経は授記の経/授記の本意と受けとりかた/ことばの力/魔・魔事/暴力には正法をもって/調柔な心/大王の膳の譬/くりかえしの必要/修行の三要素/宿世の因縁
化城諭品第七
科学的であられた釈尊/理由があればこそ存在する/随所に主となる/今日をたいせつにせよ/魔軍を破するとは/出家の意義/現代の出家/在家の出家/業とはなにか/〈業〉は未来のためのもの/孤独地獄からの解放/創造が人生の喜び/衆生の眼となる/つねに花ある優曇華/供養の納受を懇願する/楽の想すらもたぬ人びと/邪見の法に住する/広い世界に関心をもて/仏教は広い世界を見させる教え/仏教は人間による人間の教え/結願の文/示転・勧転・証転/十二因縁/無明/行/識/名色/六入/触/受/愛/取/有/生/老死/順観・逆観/まず手近なところから/貪欲・差別は新しい病気/根本的に迷いを治すには/志願/四衆/妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念/法華経とは固有名詞ではない/受持・諷誦・通利/仏に代って説意気/示・教・利・喜/娑婆世界の仏釈迦牟尼如来/人間とは/人と人、人と自然との間の教え/縁に引かれて仏法を学ぶ/ひとりの幸福とみんなの幸福/菩薩の必要性/影を実在と見るあやまり/湖の水を川に変る/世のリーダーの資格/権利・権力は仮のもの/化城諭の表の意味/仏道修行は人生修行/凡夫の三つの型/無害であることに満足するな/みんなと一緒に/静止から活動へ/創造しつつ調和しつつ
ISBN:9784333014279
出版社:佼成出版社
発売日:1989/6/1