新釈法華三部経 5
新釈法華三部経 5
収録内容……『法華経』「五百弟子受記品第八」「授学無学人記品第九」「法師品第十」「見宝塔品第十一」。立正佼成会の開祖である庭野日敬(にわの・にっきょう/1906-1999)は、生きることに苦悩する多くの人びとを励まし、釈尊の教えにもとづく信仰の喜びを説きました。やがてキリスト教、イスラームをはじめとする宗教界の指導者と手をとりあい、“諸宗教間の対話と協力”にもとづく平和運動の推進を掲げて「世界宗教者平和会議」を実現へと導きました。その生涯は、大乗仏教の到達点である『法華経(妙法蓮華経)』の真理を、人びとの目に見えるかたちで、現代社会に向けて展開・実践する歩みでありました。本叢書では「法華三部経」の教えが、だれにでも分かるよう平易に解き明かされています。漢文・読み下し・現代語訳・解説を併記し、『法華経』全般にわたり経文の意味を把握しやすくなっているのが特徴です。また語句解説には、著者自身の体験にもとづく豊富な話題が添えられています。※「法華三部経」とは、『法華経』とその序章に当たる『無量義経』、終章に当たる『仏説観普賢菩薩行法経』の三経をいいます。多くの仏弟子たちがお釈迦さまから、遠い未来にかならず悟りを開き、仏となる保証(尊い宝)を与えられていたことに気づくのが五百弟子受記品。続く授学無学人記品では、いまだ修行が完成していない者も等しく授記され、すべての衆生が成仏する可能性を持っていることが強く示されます。また法師品では、これまでのお釈迦さまの説法で目覚めた人(法師)に対して、世の人と共に幸福の道を歩むための心構えが告げられます。その説法が終わるやいなや、大地から美しい宝塔が現れます。これぞ多宝如来(たほうにょらい)がお釈迦さまの説法をほめたたえ、その教説が真実であることを証明するために出現した大宝塔だったのです(見宝塔品)。
庭野日敬
1906年、新潟県に生まれる。立正佼成会開祖。長年にわたり宗教協力を提唱し、新日本宗教団体連合会理事長、世界宗教者平和会議国際委員会会長などを務める。著書に『新釈法華三部経』(全10巻)『法華経の新しい解釈』『瀉瓶無遺』『人生、心がけ』『この道』など多数。1999年、入寂。
【目次】
妙法蓮華経
五百弟子受記品第八
雄弁と勇気の人富楼那/貪著は抜出せよ/正法にもとづく説得力/わかりやすいことばを使う/雄弁を養うものは沈黙/空法/四無礙智/半歩主義/過去の七仏/四劫・賢劫/鳩摩羅什の名訳/人間として現われる菩薩/最初のお弟子・憍陳如/問題児だった迦留陀夷/無言の説法者・薄拘羅/愚者にして悟った周陀/普明如来/衣裏繫珠の譬え/〈願〉は一世のものではない/衣裏繫珠諭の奥の意味/仏性こそ無価の宝珠/縁起の教え/自由と創造こそ/生かされているように生きる/あなたも普明如来
授学無学人記品第九
身近の人の教化/常随の侍者・阿難/密行第一の羅睺羅/仏道/多聞と勤修・精進/慈悲を習慣とする/利他行は智慧も養う/教化とは仏性を引きだすこと/本願/法の子をつくろう/仏法はタテヨコ十文字に無限
法師品第十
菩薩よと呼びかけられる/素直な感動/随喜を伸ばす修行と供養/五種法師/受持/読/誦/解説/書写/十種供養/貧者の一灯/心と行ないは循環する/願生/人間・世間/正しい教えはすべて法華経/人に依らず法に依れ/法は人によって興る/大恩教主を崇めるは自然の心情/罪と罰/なぜ法華経は難信難解か/厚い仏の加護/仏と共にあり!/仏の深い信頼/如来の全身います/菩薩行とは/菩薩行は苦しくない/方便の門を開く/衣・座・室の三軌/如来の室/慈悲とは/慈は共に楽しみたい心/悲は苦を同感する心/慈悲と智慧の関係/如来の衣/如来の座に坐す/空を積極的に悟る/なぜ諸経の王なのか/仏を念ずるとは
見宝塔品第十一
宝塔は仏性の象徴/如来の全身は仏性/分身/十方世界は本来は寂光土/無我のときに真理がつかめる/他土へ置く/真如は時・空を超越/虚空に浮かぶことの重大さ/理と智と慈/真如は永久不変/真如に動きをあたえる/真如は活動を欲する/真・善・美は表現されてこそ価値を生む/三身仏/三身は不離/二仏同坐/理想を求める心/二処三会/二処三会を日々の生活にも/宗教協力の理想と実現の相/護持には積極的な意味もある/六難九易/説経難/書持難/暫読難/説法難/聴受難/奉持難/法華経は強者の教え/ほんとうの精進とは/戒を持つ/頭陀を行ずる/富の理想的なありかた
ISBN:9784333014286
出版社:佼成出版社
発売日:1989/6/20