禅と哲学のあいだ 平等は差別をもって現れる

禅と哲学のあいだ 平等は差別をもって現れる

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仏教の言葉は多くが、相対的な表現で説かれてきた。「差別と平等」「生と死」「迷いと悟り」「我と他」「明と暗」……ここに、互いに相反する言葉をあげて、そのなかから、二つに分かれる以前の真心が現れてくるところを証してゆく。読み手は、仏教の哲学的思考を再確認するための重要性に気づかされる。内容的には、趙州従諗(778~897)、関山慧玄(1277~7360)、臨済慧照(?~876)、雲門文偃(864~949)、至道無難(1676~1750)、白隠慧鶴(1685~1768)、明庵栄西(1141~1275)など多くの禅者の語録から取材。「空」「無」「無明」「十二因縁」「五蘊」といった膨大な哲学体系にふれながら、禅仏教の「言葉」と「考え方」理解のための、これまでの一般書からは一歩踏み込んだ深い創造的アプローチを試みている。巻末に日本人に最も親しまれる「般若心経」を段落ごとにていねいに解説。原文にルビ(読み仮名)、書き下し、現代語訳付き。著者は、一般の寺院住職ではない。檀家にたよらず、禅修行・指導に日夜はげむ「異色の僧」である。


形山睡峰
昭和24年、岡山県に生まれる。昭和48年、京都・花園大学を中退して、東京・中野の高歩院、大森曹玄老師の下で参禅を始める。その後、出家得度して臨済宗の末僧となる。昭和63年、茨城県出島村(現かすみがうら市)岩坪に菩提禅堂が建立され、堂長に就任。平成19年、かすみがうら市宍倉に「無相庵・菩提禅堂」を開創。庵主として現在に至る。著書『禅に問う』(大法輪閣)、『心が動く・一日一話』(佼成出版社)、『無心という生き方』(ベストブック)他。

【目次】はじめに
第一章 一切衆生を救うために迷ってゆ
色即是空 空即是色  空と慈悲
差別と平等 平等が現れるときは差別になる
異(差別)と類(平等)の中を行く
生と死 別に働く者は何か
死んで生きている
迷い(煩悩)と悟り(菩提) 日本的心性への憧れ
仏が迷っている
嘘と真 信じられたくて嘘をつく
眼は見る耳は聞く

第二章 富士山が水上を歩いてゆく
我と他 我思わず、故に我なし
我が本心に出会いたい
明と暗 一つ命を同じくする者
明は暗によって証される
「私」と「私」を支える者 自他一如になっての「私」
妙不可思議な調和力
正受と不受 否定させるものがある
東山が我が上を行く
分かることと分からないこと 体験を積んで初めて分かる
我が心に知っている

第三章 仏法の悟りは、在家出家を問わない
戦争と平和 平和観が一つではない
「比べ心」を去る
自力と他力 永遠の昔に悟っていた
慣れ親しんだ安心の道
時節と因縁 だれも正しい時を知らない
光陰虚しく過ごすなかれ
動中と静中 苦行では安心を得ない
動と静と差別なき心
在家と出家 直心が道場
念々に余念を加えないで行く
不便と便利 臂は外に曲がらない
逃げない自由

第四章 一切衆生はみな、仏性を具えている
三種の病人と接物利生 不自由な者に具わる自由な心
魂を解放した一言
知識と体験 知識だけでは、すぐ濁る
見性体験が説いてある
大悟と小悟 命に与っての煩悩妄想
迷いと悟りのくり返し
無明と一仏乗 十二因縁の法則
宇宙の創成に連なってきた
苦痛と安楽 身体と心と丹田をゼロにする
だれでも無心になる
存在と時間 時間は存在の根本動機
みな一つ大地に坐っている

第五章 大いなるかな心や、心は天の上に出る
大阪の我と東京の我 家に二主なし
咲く力が散る力
学者と禅者 どんなワナもない
解釈しない勇気
仏教と葬式 心と身体は別々の物ではない
真に「空」に帰してゆく
公案体系と禅修行 公案体系という階梯
根こそぎ奪ってゆく者
思いと心 思わねば心も無い
思えば見方が偏る
修行と妙境 なぜ真意に気づかないのか
思いの妙境に酔った者

第六章 天地はつねに書かざる経を説いている
臨済禅と道元禅 臨済は修証を見ない
道元は修証一如と見た
臨済には仏性も眼中の塵禅と悟り 悟りを求めることが、迷いの原因
暗黒の中で、空っぽを悟る
心と物 「五蘊」で心の働きを見る
十二因縁を見て、存在の根源を悟る
無明が根源の動機
主体が「空」だから、持続してゆく

付録 般若心経を読む
おわりに

ISBN:9784333027811
出版社:佼成出版社
発売日:2018/5/30