インド仏教思想史(上)
インド仏教思想史(上)
本書は1987年に大法輪閣から出版されたものの復刊です。平易で易しい文体に定評がある仏教作家の著書のなかでは、硬質で堅い印象をもたれるかもしれません。上巻では仏教史を正確にとらえながら、かつ文献に当たりつつ根本仏教から大乗思想までをユニークな視点でえがいています。
ひろさちや
1936年(昭和11年)、大阪市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程修了。1965年から20年間、気象大学校教授をつとめる。退職後、仏教をはじめとする宗教の解説書から、仏教的な生き方を綴るエッセイまで幅広く執筆するとともに、全国各地で講演活動をおこなう。厖大かつ多様で難解な仏教の教えを、逆説やユーモアを駆使して表現される筆致や語り口は、年齢・性別を超えて好評を博する。2022年(令和4年)、逝去。
おもな著書に、『仏教の歴史(全十巻)』『釈迦』『仏陀』『大乗仏教の真実』(以上春秋社)、『お念仏とは何か』『禅がわかる本』(以上新潮選書)、『生き方、ちょっと変えてみよう』『のんびり、ゆったり、ほどほどに』『インド仏教思想史(上下巻)』『〈法華経〉の世界』『『法華経』日本語訳』『〈法華経〉の真実』『親鸞を生きる』『道元を生きる』『空海を生きる』『法然を生きる』『一遍を生きる』『最澄を生きる』『栄西を生きる』(以上佼成出版社)などがある。
【目次】
序 章 仏教思想史の可能性
一 歴史とは「対話」である
二 わたしの書きたい思想史
三 大乗は「仏教」でないのか
第一章 根本仏教の思想構造
一 釈尊の説かれたもの
二 「宗教」と「無宗教」のあいだ
三 事物の相互依存関係
四 縁起と四諦
五 苦悩の病理学
第二章 釈尊の死をめぐる問題
一 釈尊の教えの固定化
二 虚実のデーヴァダッタ
三 「仏道教」から「成仏教」へ
第三章 原初教団から部派教団へ
一 在家信者の総退場
二 小々戒は捨てるべきか
三 保守派と進歩派の分裂
四 煩瑣な教学の展開
五 「仏教」から「仏教学」へ
六 釈尊から離れた小乗仏教
第四章 大乗仏教の必然性
一 方便の思想と菩薩の精神
二 仏塔信仰と見仏体験
三 廻向――新しい仏教の原理
四 仏塔の私物化をめぐって
ISBN:9784333028283
出版社:佼成出版社
発売日:2020/10/30