心田を耕す
心田を耕す
すべての物事はとどまることなく変化するという「無常」の教えをもとに、いのちの尊さ・有り難さを自覚する大切さ、苦に直面したときの心の持ち方など、仏さまの教えがやさしく説かれています。心田を耕す日々の精進は真の救い・救われに直結することが、本書をとおしてしっかりと学ばせていただけます。
庭野日鑛 にわの・にちこう
立正佼成会会長。1938年、東京都中野区生まれ。立正大学仏教学部卒業、同大学院修了。布教本部長、学林学長を歴任。91年11月15日の法燈継承式で父・庭野日敬開祖から会長位を継承し、第二代会長に就任、現在に至る。また、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会会長をはじめ、同国際委員会会長、ACRP(アジア宗教者平和会議)共同会長、新宗連(新日本宗教団体連合会)顧問、庭野平和財団名誉会長などの要職を務め、宗教協力活動を推進。著書に『心のなかの散歩道』『すべてはわが師』『明日に向かう』『ブッダロードを行く』『こころの眼を開く』などがある。
【目次】
はじめに
一章 無常を生きる すべては絶えず変化し一刻もとどまることがない
「無常」は釈尊の悟りの根本
釈尊の教えを端的に表わす/すべては変化する/宇宙も変化・創造の世界/永遠・普遍の法
変化のさまと創造
生成・発展と衰退・消滅/苦しみも楽しみも無常/はかなさやもの悲しさを味わう/人為的努力と諦観
無常と縁起
無常観と縁起観/人びととの縁/みんな親戚
真理・法を認識する
認識するとは/知と行
人間は死すべきもの
生には限りがある/愛児を亡くした母親/死を見つめて生きる
固定観念をとり去る
自分のものは何もない/牛糞喩経のお諭し
すべてが新しい
一瞬一瞬を大切に生きる/いまを大事にする基本/同じ日は二度とない
二章 いのちの尊さ いま・ここに、わが「いのち」を生きる
いのちの尊さ
「いま生命あるは有難し」/人間として生まれること難し/宇宙でただ一つのいのち/いのちを見つめる
いのちの奇跡
現実の世界こそ不可思議/重々無尽の因縁
天上天下唯我独尊
みんな仏のいのちをもっている/絶対の世界の風光/すべてが仏性/本来の面目
永遠のいのちを生きる
仏寿は無量なり/「世界のいのち」は永遠/「時」について
いのちへの合掌
合掌・礼拝の大切さ/われも仏、相手も仏
三章 仏教による救われ 悩み苦しみを乗り越え日々を感謝で過ごす
本質的な救われを目ざして
人間としての道/仏知見を開くこと/どのように「見る」のか
貧・病・争を超える
貧・病・争と本質的な救われ/とことん苦しんでみる/人間の二つのタイプ
苦の原因と貪・瞋・痴
貪りと怒りと愚かさ/欲望もまた有り難い/自己の内の宝の泉
すでに、救われている
本来、人間は救われている/いま即座に救われる
すべて有り難い
すべて有り難い/雨も有り難い/喜んで生きる
至高の願い
仏の願いと人間の願い/「願い」のもつパワー/人類すべての幸福を願う
簡素に生きる
本質を求める時代/信仰の本質の把握/集団・組織にとっての簡素/簡素に生きる
四章 生きがい・生まれがい 人間としての「第二の誕生」と真の幸せ
生きがいと生まれがい
人間の生きがい/生まれがいということ
人間としての目ざめ
第二の誕生/人生の大転換
自分の使命
いのちはどこから来たのか/釈尊の教勅
幸せへの道
感謝と菩薩行/当たり前の生活と幸せ/自利利他円満
自己を知る
人間としての独立/仏道をならい、自己をならう/多様に変化する自分/自分の至らなさに気づく/自己を調える
「我」の枠を外す
自己中心の私たち/自己中心からの脱却/あいさつは無我の実践/家庭での無我の実践/素直にありがとう
悪をなさず、善をなす
無常の法を知ることが善/悪をなさず、をまず実践/急がずに、休まずに
五章 心田を耕す 生かされて生きる喜びと慈悲の行
仏教徒の役割──「心田を耕す」
一人ひとりのいのちを生かす/創立の精神に帰る/自己の内に目を向ける/心田は地味豊か/私もまた耕し、種を播く
内省
内省は宗教の本質/「絶対なるもの」にふれる/自分の力で生きているのではない/絶対なるものにひれ伏す謙虚さ/ただ内省するだけ
有り難し
何が有り難いか/何もかも有り難い/見えないところを洞察する/感謝は人生の基本
やわらぎ
やわらぎと調和/怒りは相手にまかせる/柔軟な心/忍辱を通じて楽しみが/智慧が私の犂である
あたたかさ
与えあう/やさしい言葉と笑顔/慈悲に生きる/布教を生きがいとして
信仰の喜び
信仰が私の播く種/釈尊にお会いする/信仰の喜びに勝るものなし
出版社:佼成出版社
発売日:1998/4/8