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ちえうみ

心眼 エサしか視えないカエル

心眼 エサしか視えないカエル

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カエルの眼には、近づいてくるエサしか視えていない─。ロボットの研究過程で人間の〝常識〟を超えた不可思議な世界を知った著者。身近な事象を例に、「観れども観えぬ」物事の実体を観る思考訓練へと、読者を誘う。

森 政弘
1927年(昭和2年)、三重県に生まれる。名古屋大学工学部電気学科卒業。工学博士。東京大学教授、東京工業大学教授を経て、東京工業大学名誉教授、日本ロボット学会名誉会長、中央学術研究所講師、NPO法人国際ロボフェスタ協会特別顧問、ロボコンマガジン編集顧問を務める。ロボットコンテスト(ロボコン)の創始者であると共に、約四十年にわたる仏教および禅研究家としての著作も多い。紫綬褒章および勲三等旭日中綬章を受章、NHK放送文化賞、ロボット活用社会貢献賞ほかを受賞する。
おもな著書に『機械部品の幕の内弁当』(オーム社)、『今を生きていく力「六波羅蜜」』(教育評論社)、『親子のための仏教入門』(幻冬舎新書)、『退歩を学べ』(佼成出版社)等がある。

【目次】
まえがき

第1章 一億年動き続けた心
アメーバによってぼくの心臓が動いてる
霞ヶ関ビルとカーネーションはどっちが高い

第2章 x=x-(エックスバー)の方程式を解け
仏教の基礎方程式
点検整備は心にも必要
二つを一つに合わせていく努力が中道

第3章 〝中智〟にしがみついていると〝大智〟に立てない
鰯の頭で病気が治ると信じる〝小智〟
策をめぐらし策に溺れてしまう〝中智〟
無策の策の〝大智〟へどう飛躍する?
どっちがどう曲がっているのだろうか?
捨てる勇気から生まれてくる功徳

第4章 目玉だけでは何も見えない——エサしか見えないカエル——
どんな勉強も仏教の勉強に通じている
いやというほど視ていても見えない目
バラバラのクギがつながって見えれば
自分の食べるエサしか見えないカエル
見ていたのは眼ではなく心だった
妨げているのは自分中心の先入観
新幹線もバクテリアも自分の中にある

第5章 水爆より恐ろしい脳が修行を求めている
頭が悪いのは脳ミソが足りないからか
脳の違いは配線の出来方の違い
本能だけなら殺し合いしないはずだが
豊かな心を育てる教育で殺し屋が育つ
人間であるかぎり忘れてならないもの

第6章 固い頭を柔らかく解きほぐす極意虎の巻
砂糖は固体であるか、液体であるか
その物の性質を変えず変身させる術
「ゴミ」が「資源」に「資源」が「ゴミ」になる
風呂敷が本当に見えると仏教が分かる
仏道とは大通りの向う側に渡ること

第7章 同じ人間がいないのは「よりよい調和」を生み出すため
同じ者同士では和声はつくれない
自分自身を活かし切るのも調和するため
飛行機とは調和が大空を飛んでいる姿
切り方を知らないと調和は創れない
変化を忘れて突っ立っていれば転げる

第8章 壊れない機械を造ると人間が壊れる——『十如是』の法門で見た「物」と「心」の不思議な関係——
食欲がなくなった現代の学生諸君
原因を探究するお釈迦さまの観察法
ぼくたちの心も物によって生まれてきた
壊れないものがもつ欠点も忘れるな
トゲのある木に咲く花の美しさを見る力

第9章 物質不滅のはずなのに、なぜなくなる——縁起が観えると世界が開ける——
不滅のはずの物が、なぜなくなる
秩序だてられぬものは人間になれぬ
なぜ、ぼくはぼくの姿でぼくであるのか
一個の茶わんの中に都市が生きている
自分の音が出せないと音楽ができない
分けたら総合しないと世界が見えない

第10章 直線と円を生み出した人間の心は公害に縁たり
京都・嵯峨野の汚染源の正体見てみれば
直線と円の十二因縁をたどっていくと
曲がったものこそ人間的であるのかも
造る人と使う人とが分裂したことの罪
直線的な思考を離れれば真実が観える

第11章 役立つものだけを求めると役に立たぬものをつかんでしまう
1+1=1 の数学が電子計算機を造る
すぐ役に立つものだけを求めると世が傾く
虚は実であり、実は虚であるこの世界
松の承諾を得て「松」と呼んでいるか
柔らかい心がないと仏は語りかけない

第12章 殴られたら撫で返す〝負のフィード・バック〟ですべての願いがかなう
科学も宗教も願いをかなえるためのもの
反省できるからロボット君は倒れない
殴られたら撫で返すフィード・バックが菩提心
真の勇者——偉大なるバカへの志願

第13章 無数の師を発見するための独学
学歴コンプレックスはどこから生まれる
教えられるのと学ぶのとどっちが大切か
舗装道路を歩くだけでは頂上に着けぬ
卵の中のヒナにだれが破り方を教えたか
すべてを師としたときすべてに証される

第14章 ロボット君の仏性を探究して見つけ出したぼくらの仏性
仏性はポケットには入っていなかった
提婆達多がどうして善知識なのか
自動車がぼくたちを蓮転している
仏性が仏性を動かしているこの世界
ロボット君に教えられた仏性の磨き方

第15章 中身が分からなくても信じ切らねばならぬときもある
ゲバ学生は〝疑う科学〟の申し子かも
信じられないものだから信じる意味が
原発は日比谷公園に造るのが一番安全
納得できてから信じるのでは遅すぎる
間違いをも活かしていく一休さんの巧慧

ISBN:9784333002658
出版社:佼成出版社
発売日:1976/11/26

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