豆腐の如く 融通無我のすすめ
豆腐の如く 融通無我のすすめ
人生、豆腐のように、じっくり、味わって生きてみようじゃないか。冷や奴、みそ汁、おでん、すき焼き、あんかけ―。実に融通がきき、自然にすべてに相和して主人公となる豆腐こそは、まさに“好く出来た漢(をとこ)”。俳人・萩原井泉水の名随筆「豆腐」をベースに、脂っこい世の中を楽しく幸せに生きるために今、モタさんが贈る共感を込めたエール。
斎藤茂太
1916年東京生まれ。医学博士。明治大学文学部、昭和医科大学医学部卒。慶應義塾大学医学部にて精神医学専攻。精神神経科斎藤病院名誉院長のほか、アルコール健康医学協会会長などの要職にあり、また文筆家として、日本旅行作家協会会長、日本ペンクラブ理事をつとめる。著書に『少欲知足のすすめ』『信頼関係のすすめ』(佼成出版社)、『五十歳から愉しく生きる「悟り方」』(講談社)、『回想の父茂吉 母輝子』(中央公論社)など多数。
【目次】
プロローグ 世の中が脂っこいから、いま豆腐がうまい
死の床で食べたいと思うもの
陸軍病院特製豆腐
四角四面の佛頂面だが……
「好く出來た漢」の条件
豆腐こそ、悟りきった達人の面影がある
第一章 しまりがあって軟らか
豆腐で歯を傷める
軟弱大いにけっこう
人間的な、あまりに人間的な病気
エゴイスト万歳──わが母の超利己主義
逆境から立ち上がるパワー
豆腐的「いい加減さ」が鬱病から身を守る
マジメ人間が陥りやすいエアポケット
人間、死んでみなけりゃ評価は下せない
堅い木ほどポキリと折れる
心にスが入る——老化とは心の硬化なり
軟らかさもここまでくると
〝しまり〟のない家族関係を見直す
ニガリを打つ
ダンディズムのすすめ
第二章 煮ても焼いてもよろしく
豆腐の味は七変化
魅力ある漢は〝自分の味〟を出さねばならない
名刺がなければ生きられない症候群
一所懸命VS多所懸命
その時、その場にふさわしい自己
人には五つの性格がある
茂太流「性格改造講座」
個性は性格の偏りがつくる?
花はなぜ美しいか──自分を好きになる方法
個性を育てるもの
煮ても焼いても食えないやつ
良寛の「戒語」に学ぶ
第三章 和して味さまざま
かくして、わが家は寄せ鍋状態となる
わが家の家庭憲法・三カ条
いい人間関係の秘訣(1)──嫌いな人はあなたの役に立つ
いい人間関係の秘訣(2)──相手に合わせるしなやかさを
いい人間関係の秘訣(3)──スキを見せて仲良くなる
「孤食」は心の病の最初の兆候
夫婦、この味なもの
バカ正直は人間関係を損なう
和する心は幸せを感じる力につながる
誰もがみんな主人公
エピローグ 騰々、天真に任す
茂吉の敬慕した良寛
ISBN:9784333017126
出版社:佼成出版社
発売日:1994/11/15