オンライン読書会#3「『退歩を学べ』を読む」のご案内

今年のゴールデンウィークは最長で9連休だそうです。暦通りにお仕事をされる方も、祝日がかき入れ時の業種の皆様も、有意義なお時間を過ごされることをお祈りいたします。


さて本日は、ゴールデンウィーク明け最初の日曜日である5月14日に開催する、ちえうみオンライン読書会 #3のご案内です。
今回のテーマは「『退歩を学べ』(森政弘・著)を読む」です。
題名通り、当社から刊行されている退歩を学べをお読み頂き、参加者の皆さんと感想をシェアしたいと思っています。

世間では、対話型AI「ChatGPT」が物議を醸しています。産業の発展から始まり、進歩一辺倒を是としてきた現代の経済活動は、便利なものを数多く創り上げ、たしかに私の生活を豊かにしてきたように思えます。しかし一方で、人間が自らの頭を使い、悩み、成長する機会を奪ってきた側面があることも否定できないのではないでしょうか。

これは私見ですが、危険な労働を機械(ロボット)に代替し、人間は頭脳を使う仕事にシフトしてきた歴史があるなかで、AIの登場によって、頭脳の領域すらコンピュータにとって変わられる世界が始まっています。その時代その時代に人間は適応して生きていく生き物ですから、現状をいたずらに恐れる必要はないものの、今一度、進歩一辺倒の経済のあり方を見直す試みが求められているのかもしれません。

本書に込められたメッセージは、「退歩なくして真の進歩はあり得ない」という著者のひと言に尽きます。その真意を是非本書をお読みいただき、汲み取っていただければ幸いです。

一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。

なお、『退歩を学べ』は無料で読めますので、この機会にちえうみでご覧くださいませ。

担当:芙蓉

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ちえうみ オンライン読書会 #3

<テーマ>
森政弘『退歩を学べ』(佼成出版社、2011年)を読む

<課題本>
森政弘『退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察』(佼成出版社、2011年)
電子書籍:https://chieumi.com/products/ks0055
紙の書籍:https://books.kosei-shuppan.co.jp/book/b274482.html


<概要>

日時:2023年5月14日(日) 10時~11時 ※約1時間予定
会場:オンライン(Teams)
費用:無料 (※要事前予約:https://chieumi-reading-online-03.peatix.com/

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退歩を学べ ロボット博士の仏教的省察』森政弘・著

本書は、現代日本人の「進歩」一辺倒の思考に対して「退歩」という活路(“退路”ではありません)を提示するものです。明治の開国以来、敗戦を経て高度経済成長、バブル経済等々と進歩・発展・成長で突き進んできた日本人。その「右肩上がり」的発想は経済や社会のみならず教育、人生観などにおいても一貫したものでした。しかしながら、その「進歩」優先のひずみとして表れていたのが、おそらく「13年連続で自殺者が3万人」であり、その限界を決定的に露呈させたのが東日本大震災および福島の原発事故でした。にもかかわらず、原発事故後も政府が「成長戦略」を謳い続けているところに、日本人における「進歩」的思考の根深さがうかがわれます。 そのような状況に対して、著者が提示するのが「退歩」です。著者によれば、「進歩」一辺倒では行き詰まるというのが自然の摂理の必然であり、「進歩」と「退歩」が車の両輪のように揃って機能してこそ、真の進歩が可能となるといいます。この「退歩」とは、そもそも禅思想(道元著『普勧坐禅儀』)に由来する語で、「歩みを戻す、根本に立ち返る」が原義です。さらに禅では「退歩」を「進歩」と対比させて、「進歩」が「自己の外側のあらゆるものに着目する姿勢」を言うのに対して、「退歩」は「自分の内側、すなわち心を問題にする姿勢」を意味します。真の「進歩」のためには「退歩」が不可欠であるとともに、「自然に対する畏敬の念と敬虔な姿勢をとること」こそが、日本社会の進歩ということだけでなく、私たち一人一人があらゆる意味で豊かに生きていくための道であると説く一冊です。

森政弘
1927年、三重県生まれ。
名古屋大学工学部電気学科卒業。
工学博士。東京大学教授、東京工業大学教授を経て現在、東京工業大学名誉教授、日本ロボット学会名誉会長、中央学術研究所講師、NPO法人国際ロボフェスタ協会特別顧問、ロボコンマガジン編集顧問。
ロボットコンテスト(ロボコン)の創始者であるとともに、約40年にわたる仏教および禅研究家としての著作も多い。
近著に『親子のための仏教入門――我慢が楽しくなる技術――』(幻冬舎新書)がある。

【目次】
まえがき
第一章 「退歩」とは何か、なぜ必要なのか
第二章 徹した思想「一つ」
第三章 内側発想入門
第四章 仏教が説く善・悪
第五章 足るを知る心とゼロ成長への軟着陸
第六章 物の心を察する、物との会話
第七章 簡秀技術と消去法
第八章 ディジタル化と人間の傲慢
あとがき

ISBN:9784333025121
出版社:佼成出版社
発売日:40862

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【著者近刊紹介】

般若 仏教の智慧の核心』森政弘・著 ¥1,760  (税込)

科学技術者(制御工学専攻)の立場から、仏教を学び実践することの大切さを訴え、仏教の著作も多い森政弘氏。本書は、著者が自ら体得し、体系化した仏教哲学の核心部分のみを「ノート」(覚書、注解)として著すものです。
著者の仏教思想は、光と影、陰と陽、無と有など、“この世のすべては、相反する二つのものがあって一つになっている”という合一の真理を示す「二元性一原論」に集約されます。「二元性一原論」の理論と実践が網羅的に説かれている既刊書籍『仏教新論』の姉妹本として、同書ではポイントを端的に説明しつつ、二元性一原論を支える「智慧」(=般若)の解説に特化した一冊です。
仏教を学ぶうえでの心構えから、科学的見地から仏教を考察する論理的な視点で、仏教が説く智慧の核心に迫ります。
退歩を学べ』(2011年、6刷)、『仏教新論』(2013年、3刷)と併せて、著者晩年の“仏教哲学三部作”の完結作品。

【目次】
まえがき
【第一章】仏教での言葉の立場
【第二章】言葉の本質と限界
【第三章】「二元性一原論」とは
【第四章】大事な仏教教義いくつか
付録(般若まとめ)
あとがき

ISBN:9784333028993
出版社:佼成出版社
発売日:2023/04/15