コレクション: 連続テレビ小説「ばけばけ」放送記念!<小泉八雲>特集

日本の文化や怪談を世界に紹介した作家、小泉八雲(本名:パトリック・ラフカディオ・ハーン)。彼が残した珠玉の名作は日本人独自の感性を世界に発信し、近代化政策が進められた明治時代に、伝統文化や自然を敬う精神の大切さを伝えました。

この特集では、小泉八雲の関連本だけでなく、小泉八雲とゆかりがある人物や、小泉八雲が愛した日本の伝統文化や怪談などの書籍を広く紹介していきたいと思います。

また、学びと実践を深める新しい仏教メディア「ちえうみPLUS」では、
#特集 小泉八雲を知る が鋭意進行中です!
怪談や妖怪にまつわる映画レビューや、小泉八雲への理解を深める記事をお楽しみ下さい!



<小泉八雲>特集 書籍紹介

********

黒い蜻蛉 ――小説 小泉八雲――』ジーン・パスリー・著 ¥2,750(税込)

ISBN:9784333029259
出版社:佼成出版社
発売日:2024/08/30

ちえうみ担当コメント:

 まずご紹介するこの一冊は、アイルランド出身の作家、ジーン・パスリーによる小泉八雲の伝記小説です。本作は小泉八雲が来日したきっかけや、日本各地を転々とした日々、心が通い合いとなった妻セツとの出会いなど、小泉八雲と日本との深い縁を丁寧に描写しています。この作品を読むと、小泉八雲が自然との共生を重んじる日本人の精神性に感銘を受け、それらの価値観が『怪談』『逝きし日の面影』などの作品にも反映されていることがより一層分かるようになるでしょう。

********

教養としての名作怪談 日本書紀から小泉八雲まで』吉田悠軌・著 ¥1,760(税込)

ISBN:978-4651205304
出版社:ワン・パブリッシング
発売日:2025/07/01

ちえうみ担当コメント:

 小泉八雲という名前を聞いたら、まず頭に浮かぶキーワードが「怪談」という方も多くいるでしょう。古今東西を問わず、「怖い話」は人々の興味を引き、語り継がれています。本書は、日本最古の歴史書「日本書紀」に書かれた呪術をはじめ、民話・昔話や名作文学をめぐる怪談を紹介し、その背景にある「恐怖たる所以」を掘り下げていきます。小泉八雲が見出した「子育て幽霊」「耳なし芳一」「ムジナ」はなぜ人をゾッとさせるのか? その答えは、本書の中にあるのかもしれません。

********

日本の神社と「神道」』井上寬司・著 ¥1,650(税込)

ISBN:978-4831826640
出版社:法藏館
発売日:2024/05/10

ちえうみ担当コメント:

 小泉八雲が日本にやってきた時期は、激動の明治時代。彼を魅了する古き良き日本の文化も、近代化政策などの国家戦略によって変わりつつありました。神道信仰に関しても、万物に魂が宿る「八百万の神」の信仰から、「国家神道」という神道と国家が一体化した制度に変化し、日本社会と国民に大きな影響を与えました。本書は、古代から現代までの日本の神道に焦点を当て、神道と神社史の課題を論じています。小泉八雲が見た日本の神道を深く知ることができる一冊です。

********

哲学する漱石 天と私のあわいを生きる』長谷川徹・著 ¥4,620(税込)

ISBN:978-4393332399
出版社:春秋社
発売日:2023/08/20

ちえうみ担当コメント:

 日本を代表する文豪・夏目漱石は、文学作品や小説のみならず、多くの思想を残しました。他者を尊重しつつ自己の個性を発展させる「個人主義」を唱え、私利私欲を捨てて自然体で生きる「則天去私」の考え方は、近代化する社会の中で「私たちはどう生きるべきか」を問いかけました。

 そして、夏目漱石は小泉八雲と不思議な接点をもっていました。熊本第五高等学校で英語教師として教鞭をとっていた小泉八雲ですが、後に漱石は彼の後任として同校の英語教師を務めました。また、小泉八雲は東京帝国大学文科大学(現東京大学文学部)で英文学を教え、その講義は学生たちに高く評価されましたが、その後八雲は解雇され、こちらでも漱石が彼の後任を務めました。

 夏目漱石も小泉八雲も、西洋文化に深い知見を持ちながら、外来の近代思想とは異なる日本人の根っこを見つめてきました。また、夏目漱石は著書や書簡の中で、何度も小泉八雲のことを言及したことから、漱石にとって八雲は特別な存在であることが窺えます。本書ではそんな夏目漱石の哲学思想が紹介されています。

********

今回の特集は小泉八雲をめぐって、ちえうみ編集がとっておきの4冊をピックアップしました。小泉八雲に思いを馳せて、新たな角度から奥深い日本文化や怪談に触れてはいかがでしょうか?